チビジュ 松岡昌宏 BLコミック


さっきまでは「大嫌い」。集中出来ないなんて言い訳だ。彼の唇からもれる自分の名前の中に、先刻はまったく感じられなかった温かさがある。入った時の態勢が悪かった。「なに?」。唇が離れたのでそっと目を開くと、侯爵の金色の髪が見える。

苛立ちとも違う。金持ちのヒューイットと勝負するのに、賭けられるようなものなど何も持っていなかった。「好きだよ、幸也」。聞き覚えのある声にゆっくりと顔を上げ、見知った顔を見止めて樋口の表情が強《こわ》ばった。言葉で「やろう」。驚きの声を発した那波だったが、すでに唇は重なってしまった。「ぐだぐだ言うな。本能の赴くままに服を脱がしていろ」。

「そうか。よかったじゃないか。……じゃあ、もう俺に電話をしなくてもよくなるな。……うん。はは。そう言うなよ。……じゃあな」。「ン……ッ……」。幸也は目を丸くして、陸の肩口から顔を起こした。「最初から完全な人間などいません」。

へなへなとその場にしゃがみ込んでしまった。意地悪な仮面の下の良心に効く、それは聖にとって一番の特効薬。

「目ェ閉じてよ、先生」。


ボーイズラブ小説作品紹介


結婚相談所に勤めている由利は、入会希望として現れた美形外国人・ジャックを担当することになるが、その男は超電波系だった。誰もが振り返るほどの美貌とホテル王の息子という背景をもちながらも、彼の言動と行動はアヤシイものばかり。親交を深めたいと呼び出された料亭では、次の間に布団が敷かれている始末。「日本では、体を張って仕事をとるということがあるそうですね」――そんな言動とともに押し倒された由利は!?

タイトル:混線ラブノット
著 者 名:高月まつり
レーベル:アクア文庫
発 行 元:オークラ出版

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